沫/アワ
バンド/25歳/168cm/5月7日/僕/君、あなた
「終骨」というバンドでボーカルを務める人物。パート表記は唄。
常に笑顔を絶やさず、誰に対しても柔らかい敬語で話す。愛想は良いが本心がどこにあるのか非常に解りづらく、何を考えているのか見当がつかない。
他人の驚く顔が好きで、よく知人バンドマンの部屋に無断で転がり込んでは、ベッドの下や押し入れに隠れて遊んでいる。特技はピッキング。
都市伝説やオカルト、怪異等に非常に詳しく、バンドのコンセプトもそういったものを主軸にしている。

本名は粟倉 由宇(アワクラ ユウ)。

どこにでも居てどこにも居ない。
彼の訃報を聞いたのはよく晴れた日だった。一番最初に見つけたのはメンバーで、自室で首を吊っていたそうだ。
自殺する様な人では無かったと知人は口を揃えて言った。前日、最後まで一緒に居たメンバーもそんな素振りは無かった、いつもの柔らかな笑顔だった、と話す。
彼は両親も親戚も居なかったので、メンバーをはじめ知人や、事務所の同僚や社長達で葬式を行った。誰も彼もが、沫の死を飲み込み切れず、泣けなかった。

彼が死んでから三年後の春。活動休止、という名目で一切の動きを見せていなかった終骨が、唐突にシングルのリリースを発表する。その発表を、沫の死を悲しんでいたファン達は大いに沸いた。未発表の音源だろうか、どんな形であれ新曲を聴けるのは喜ばしい事だと皆は喜んだ。
それに際して、メンバーはオフィシャルSNS上でぽつぽつと発言する。

『このシングルは完全な新曲です。』
『一カ月程前、唐突にメンバーへ送られてきた音源データが元です。』
『彼のアドレスから、新曲が出来ましたとだけ送られてきた。』

『何も変わらない彼の歌声だった。』

『沫は本当の都市伝説になっちゃったんだなって。』